シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略
企業のソーシャルメディアアカウント運用について、森美術館広報・プロモーション担当として「中の人」をされている洞田貫氏の本。ソーシャルメディアを使った PR についてあらためて考えるのに読んでみた。
企業アカウントの運用方針についての考え
では、どうやって認知を得ていけばよいのでしょうか? それは、画面の向こうにいるお客さんを想像し、彼らが本当に必要としている情報を淡々と投稿していく。これだけです。「中の人」のキャラクターを作って面白くする必要はないと思っています。
ソーシャルメディアアカウント運用方針には様々なものがあるが、「中の人」のキャラクターを作って面白くする必要はないというのが氏の方針だ。
ファンを獲得するには面白い投稿が必要だと頭を悩ませてしまいがちだけれど、画面を見ている顧客が本当に必要としている情報をきちんと届けていくことが一番重要。確かに確かに。
キャラクター作りをしないことで1人の担当者に依存することなく引き継いでいきやすいというのもうなずけた。
また最初に「自分たちが伝えたいこと」と「そのさきにあるもの」を明確にしたいとも述べられている。これについては note でも「所信表明」が大切と言われているところでぜひやっておくべきところだと感じた。
心構え
気を抜くと17万人が1つのかたまりのように見えてしまうときがあります。相手を意識できていない状態です。この状態では、あまりうまくいかないような気がします。
先の引用にもあったとおり、血の通った顧客がいることを意識し「家族や友達に話しかけるときと同じ気持ちで投稿を考える。」べきとのこと。結局のところ顧客を考えて伝えていくの1点に尽きるということだ。
必ず受け取ることになるネガティブな反応に対しては
それを怖がっていては、世の中を揺さぶるような問いを投げかけることができませんし、そもそも、「中の人」の仕事が務まりません。「中の人」は、ユーザーと真正面から対峙していることで影響力をもつことができるのです。
と書かれていた。「真正面から対峙」というのカッコいい響きでいいな。 PR しようとしているプロダクト/ブランドによっては美術館とは桁違いの批判にさらされるものもあり覚悟はいるけれども、しっかり顧客と向き合っていく必要があるなと。
企業アカウント運用のポイント
以下は本書で述べられている企業アカウント運用のポイントのうち意識したいなと思ったもの。
休日の緊急対応方法を決めておく。
計画を立てて投稿する。
エンゲージメント率・インプレッション・何人に見てもらえたかを重視する。
投稿の記録をとる。
Twitter でのテクニック
本書ではその他ソーシャルメディア別の「現時点」で使えるテクニックがいろいろあげられていて参考になる。Twitter・Instagram・Facebook について主にあげられているが、ここでは Twitter で役に立ちそうなものをメモ。
公式ハッシュタグは長さに関係なく、正式名称にする。
1行目をタイトルに。本文の2行目まででなるべく伝わるようにする。
広告的な投稿ではなく日常を少しだけ豊かにする提案を。
Retweet や感謝の意味のいいねもうまく使う。
「政治や思想」「スポーツ」「宗教」「性」について気をつける。
「中の人」の考え方がまとまった書籍って多くない。そいういう意味でこの本は「中の人」や「中の人になろうとしている人」にとって今とても参考になる1冊である。
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[ 読書ノート ]